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(69)推しの為にCDを1000枚買ってるヲタクは良い奴だった

NFTという存在をご存知だろうか?NFTとは非代替性トークンのことであり、これを購入するとNFTが紐づくデジタルデータの唯一の所有者であることが証明出来るらしい。絵や動画、Twitterのつぶやきなどのデジタルデータに唯一無二の価値を与えることが出来る画期的な発明だと一般的な解説記事で説明されている。Twitter社のCEOが自身のTweetのNFTを3億円で売るなどのニュースを鑑みるに今バブルなビジネス対象であることは間違いないようだ。自分は当初、デジタルデータに付けられた電子署名的なものの権利をやりとりしている物だと認識していたが、これは大きな誤解であった。なんと、シリアルナンバー入りアイドルCDよりも意味のない存在であるようだ。

Yuta Okamoto氏が書いたブログ記事ソフトウェアエンジニアなら3秒で理解できるNFT入門によるとNFTはデジタル作品に一切紐づけられていないという衝撃の事実が説明されている(ちなみにソフトウェアエンジニアでない自分は3秒では理解出来なかった)。トークン情報のJSONデータにはただデジタル作品を出品するプラットホームのURLが記載されているだけであり、デジタル作品そのものについて一切記述されていないとのことである(容量の節約のためらしい)。これではデジタルデータ「そのもの」の所有者である証明として弱いだろうと思っていたが、スライドを見ると衝撃の事実が説明されていた。なんと、「同じ作品に対して出品者はいくつものNFTを発行可能」、「作品自体改ざんが可能」であるというのだ。「唯一無二の価値を与える」からは程遠いNFTの現状を知り、アイドルCDに付いたシリアルナンバーの方がまだ価値があるのではと思えてきた。

NFTはマネーロンダリングに利用される(されている)可能性、一部のVCによるネズミ講的目論見が潜んでいる可能性があることをOkamoto氏は警告している(「NFTとは何ではないか」の後に調べたこと)。このような新しい詐欺システムでしかないような話とは積極的に距離を置いた方が良さそうだ。友人のブログではNFTアートを投機内投機と一蹴しているが、これ以上の説明は必要ないだろう。NFTビジネスの巧妙に仕組まれた詐欺モデルと比べればアイドルと疑似恋愛をさせてCDやグッズを大量に買わせるオタクビジネスは意外と健全なのではないだろうか?

2022/03/01