(62)物理学の楽しさとは何か
学位取得が殆ど確実になった今自身の物理学に関する体験を振り返ると、小中学校で理科を本能的に面白いと思ったことは無かったです。父親に連れられて科学実験教室などに何度も参加した経験があるのですが、酸塩基で試薬の色が変わることや、回折格子で虹色が見えることなど、その現象が不思議だねーと押しつけがましいことを言われたところで何も興味が湧きません。ゲームキューブでスマブラしてる方が1億倍面白いです。
そんな自分が高校生のときに物理学に興味を強く抱いた経験は今でも覚えています。質点の斜方投射の軌道が放物線になることを運動方程式から導出出来ることを知ったとき、世の中の現象はシンプルな法則から導出が可能であるという事実はあらゆる応用を期待させてくれると感じました。この頃、二体問題を勉強したときに三体にしたときどうなるだろうと1時間くらい手計算したこともありました、徒労に終わりました、全ての方程式に一般解があるわけでは無いと早めに教えて欲しかったです。
自分の感じた物理学の楽しさは科学教室のような現象をただ押しつけるだけでは伝えられないと日々感じています。応用方法を知るまで地道に微分積分と線形代数を学ぶことでしか物理学の景色を見ることは出来ないでしょう。最近インターンでお世話になった有機合成研の先生の「(研究が)楽しいかどうかではなくクリアすべきことをただやる、その後に新しい視野が広がる」という名言は今回のブログの話にも通じるでしょう。人々に楽しさを無理に押しつけなくても良いかもしれません、どれほど名作と言われても未だに鬼滅もエヴァも観てませんので。
2021/03/10