(29)手品の種明かし問題はなぜ議論が炎上するのか
SNSや動画サイトなどに業界人がそこそこ集まるようになった今日、手品の種明かしをする不躾な輩が後を立ちません。手品の種は手品業界の共有財産であって一般の人が簡単にそれにアクセス出来ないことに価値があるはずなのに、それを不特定多数の方々に向けて発信するという行為は許されるはずがありません。そしてその行為によって収益を得ているという点が多くの手品師の反感を得ています。
さて、毎度種明かし問題が話題になると、きまってSNSでプロマジシャンやアマチュアマジシャンが議論を白熱させて毎度誰かしらが炎上します。「どこまでの種明かしならOKか」という話題で人それぞれの基準が違うことにより不毛な議論と言い争いが繰り広げられています。それぞれの正義を意地になってぶつけ合うことが有意義な結論を生み出すことはあまりないように個人的には思います。
この議論に結論が出せない原因は二つ考えられます、一つは「種明かしに対する法的な処罰が困難であること」、もう一つは「被害者の存在が曖昧であること」です。詳しく語り始めると長くなりそうなのでいつかコラムという形でまとめたいと思いますが、この問題について手品に関わる業界人がそれぞれの答えを持たなければいけない段階にきていると個人的には思います。
2019/03/30