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(45)学問の自由の乱用を許してはいけない

過去の記事でも散々触れましたが、ニセ科学は社会に対して悪影響を与えるものとして強く批判をしていく必要があります。特にニセ科学の中でも最も悪質な代替医療に関しては多くの人々の人権を侵害するものであるため、社会への侵食を防がなければなりません。人々の本当の意味での自己決定権が守られるように、代替医療が科学的根拠に基づかずに患者達へ施されているという事実を強く主張していく必要があります。

さて、代替医療を標準医療に組み込む「統合医療」を推進することへの批判に対してJAISTの大学教員である山本裕子准教授(以下、山本氏)は「世界は広く、様々なことを様々な方々が真剣に研究しています。私はそこに経緯を持って、まずは話を聞くタイプの人間です。(2019/9/1 0:28ごろTwitterでの発言の一部を引用、後に削除された)」と代替医療(統合医療)を批判する態度を「学問の自由の侵害である」かのように反論しました。さて、ニセ科学の研究はどこまでの権利を保障されるべきなのでしょうか?

学問の自由とは様々な権力からの干渉に対して研究をする自由が守られるという権利です。「代替医療の研究など今すぐ止めるべきだ」ということを主張すれば間違いなく学問の自由の侵害でしょう。科学の発展において研究の多様性というのはとても重要なので、すでに確立された理論を覆すような研究をしている人々の存在は社会において一定数必要であり、その存在自体は否定されるべきではないと考えています。永久機関を作ることに挑戦する人々も数人いれば何かしらの発見があるかもしれません。

しかし、研究に対してその科学的根拠は自由に批判されるべきであることを忘れてはいけません。研究している人々があたかも科学的な根拠があるかのようにめちゃくちゃな理論を主張して社会に対して悪影響を与えているのならば、それを強く批判する権利が我々一般市民にはあります。学問は社会に対して強く影響を与えるということを忘れてはいけません。特に科学的議論と社会に対するアウトリーチは違った性質のものであり、社会に対する悪影響を避けるためには感情的に見える反論も許されるべきです(EM菌推進団体を「ヤクザみたいなやり口だ」と批判した法政大学の左巻健男教授、ナノ純銀を推進する元板橋区職員を「ナノ純銀はインチキ」と批判した松崎いたる元板橋区議が名誉毀損裁判で免責されたという判例があります)。今後も学問の自由の乱用をしてくる団体や人々に対しては変わらずに強く批判していきたいと思います。

なお、本記事やSNSで山本氏を実名で批判することに関しては名誉毀損の免責要件「公共性(大学教員という立場)・真実性(実名が特定出来るアカウントでの発言)・公益性(代替医療の被害者が増えることを防ぐ目的)」に相当すると判断しております。このような批判に対して法的対応をチラつかせることは言論の自由の侵害であると考えられるため、強く戦っていく所存です。

2019/08/31